先端加速器科学技術推進協議会

 

 

 

 

 

 

 

先端加速器科学技術推進協議会

豊かな未来を、先端加速器科学技術の力で。

目に見えない粒子を、光の速度近くまで加速して高いエネルギー の状態を作り出す装置、それが加速器です。最先端技術により、 その性能を極限まで進化・発展させる加速器のことを、「先端加速器」 と呼びます。

加速イメージ

 

◎ 観 る

加速器は大きな顕微鏡。電子顕微鏡も加速器です。陽子加速器がつくる中性子を利用すれば、X線では見えない物質の構造も透視することができます。

 

◎ 創 る

放射光をつかうと、タンパク質の構造を調べることができます。その立体構造の解明で、抗インフルエンザ薬など、画期的な創薬の可能性が開けます。

 

◎ 探 る

非破壊検査ができるX線や中性子線。壁やパイプのなかの亀裂や稼働しているエンジンの内部の様子を探ることで、事前に事故を防ぎます。

 

◎ 守 る

がんを早期に発見する陽電子放射断層撮影装置(PET)用の薬剤も加速器で製造しています。さらに加速器を用いたX線や粒子線によるがんの治療も行われています。

◎ 究める

陽子と陽子、電子と陽電子を超高エネルギーで衝突させると、今まで知られていなかった新しい素粒子が発見されると考えられています。これらの新粒子を詳しく調べることで、全く新しい科学法則に迫ります。

◎ [エネルギー]光エネルギーの有効利用へ

葉の「光合成反応タンパク質」は、光合成の中で最も重要な最初のステップの鍵を握ります。光を約100フェムト秒(10兆分の1秒)という速さで吸収し、そのエネルギーを化学エネルギーに変換します。次世代放射光(XFEL/ERL)の超短パルスで、その反応を"超高速デジタル撮影"すれば、葉の光合成反応タンパク質の詳しい機構を解明することが可能になります。この解明によって、太陽エネルギー変換効率の高い「人工光合成」の実現も視野に入ります。次世代放射光は、光エネルギーの有効利用の道を拓き、人類の食糧事情に革命を起こす可能性を秘めているのです。

◎ [環 境]放射性物質の隔離期間を短縮

放射性廃棄物の中には、数万年にも及ぶ半減期をもつものがあります。加速器駆動炉(ADS)を使えば、長寿命核種に中性子を照射して短寿命の核種に変換することができ、高レベル放射性廃棄物の隔離期間を数万年から数百年に短縮することが可能になります。

◎ [新素材・バイオ]

加速器を使うと、物の「性質」を変えることができるため、新素材の開発や品種改良など、工業・農業分野の利用も進んでいます。加速器でつくる重イオンビームを照射すると、植物に突然変異を誘発することができます。これまでに行われてきたガンマ線やX線を照射する手法に比べると、植物に障害を与えない条件での遺伝子変異率が高いうえ、傷つく遺伝子が少ないため、品種改良にかかる期間が大幅に短縮できます。

◎ [基礎科学]ビッグバンを創りだす


  ©佐藤勝彦

宇宙は137億年前に、「ビッグバン」と呼ばれる大爆発で始まったといわれています。先端加速器は、これまでの加速器では到達できなかった超高エネルギーを粒子に持たせ、それらを衝突させることで、ビッグバンからわずか1兆分の1秒後の世界を再現します。このビッグバンの再現とその詳細な観測により、現在の宇宙の物質と自然法則が137億年かけていかに作りあげられてきたのかという究極の謎に挑戦し、ひも解くことができるのです。